オメガ-3系油脂「えごま油」の品質問題
2016年1月28日に公表された(独)国民生活センターの「見た目だけでは分からない、えごま油の品質」と題する報告書によりますと、全国の消費生活センター等に、えごま油に関する相談が、2010年度以降2015年11月末までの5年間で179件寄せられており、2015年度に入ってその件数は急激しているとのことです。
複数の消費生活センターからは、「購入したえごま油の色やにおいがおかしいため、えごま油であるか調べてほしい」などの依頼が寄せられ、入手可能な20商品を調べたところ、いろいろな機関等で調べて公表されているえごま油とは脂肪酸の組成が大きく異なるものがあり、純粋なえごま油であるか疑わしいものがあったと報告されています。
また、この報告書では、「劣化しやすさ」の指標であるCDM値(数値(時間)が大きいほど酸化安定性が良いことを示す)を分析し、消費者に向けてえごま油の酸化安定性の低さを注意喚起しています。
一方で、油脂の劣化指標の一つである「酸価」のデータは示されていましたが、他の過酸化物価、カルボニル価等のデータが示されておらず、分析した商品がどれくらい実際に劣化していたのかは残念ながらわかりません。
ただ、消費者はこの公表により劣化しやすい油脂であるということ、中には品質等に疑わしい商品があるということがよく知られることになったと思います。
(参考)
・(独)国民生活センター「見た目だけでは分からない、えごま油の品質」http://www.kokusen.go.jp/test/data/s_test/n-20160128_1.html (DL 2019.5.23)
・(独)国民生活センター報道発表資料「見た目だけでは分からない、えごま油の品質」平成28年1月28日リリース http://www.kokusen.go.jp/pdf/n-20160128_1.pdf (DL 2019.5.23)