技術士とは、技術士法の定められた国家資格で、技術士二次試験に合格し文部科学省に登録した技術者です。

 技術士試験には、21部門の専門分野があり、受験する技術者の専門部門で受験します。令和4年度の技術士二次試験統計(日本技術士会公表)を見ますと、全21部門で22,489人が受験し、合格者は2,632人とその合格率は11.7%でした。この数字を見ても非常に難しい国家試験と言えます。

 技術士二次試験には、論文試験と口頭試験で構成され、最初に行われる論文試験に合格をした者のみが次の口頭試験に挑む権利を与えられます。そして口頭試験では、受験者自らの専門知識、経験、技術コンサルタントとしての資質が厳しく審査されます。これらの試練を超えた技術者が「技術士」と名乗れるのです。

 技術士は、技術コンサルタント能力を有することを国が認めた資格なのです。

 試験に合格を果たし、文部科学省に登録すると技術士を表示できるのですが、それだけではありません。技術士には、その瞬間から法が定める義務と責務が課せられるのです。

 信用失墜行為の禁止(技術士法 第44条)

 技術士等の秘密保持義務(技術士法 第45条)

 技術士等の公益確保の責務(技術士法 第45条の2)

 技術士の名称表示の場合の義務(技術士法 第46条)

 技術士の資質向上の責務(技術士法 第47条の2)

 このように、特に技術士の秘密保持義務においてその違反の罰則は、1年以下の懲役又は50万円以下の罰金(技術士法 第59条)であるのに対し、弁護士のそれは6月以下の懲役又は10万円以下の罰金(刑法134条1項)でありますから重いものとなっています。このことは、秘密事項が漏えいした場合、その経済的なダメージが計り知れないという側面を有していることに起因していると言えます。この義務は、技術士でなくなった場合にも適用され、徹底した秘密保持義務が課せられています。

 一方で、私たち技術士は、「資質向上」なる責務を有しています。これは、「常に勉強、研究を怠らず、自分が属する技術部門の高い専門性を維持し磨きあげる」ということです。然るに、技術士は常にコストをかけてでも勉強、研究に励み、最新の技術に立ち遅れることなく努力と時間を費やしているのです。クライアント様に高品質な技術サービスを提供するための「時間とコスト」でもあり、また技術士が長年積み上げてきた知識や経験を最大限に活用し技術支援するため、技術士各々が示している技術士報酬額となるのです。ご理解を頂けますと幸いです。

 さらに、技術士は高い職業倫理を有し、公益を確保しつつ業務を進めます。これは例えば、確立した技術や製品の欠陥によって、多くの人々が被害を被ることがないようにと最大限の注意を払うのです。もし、開発段階で誰も気づかない問題に気づいた場合、そしてその問題が公益を害すると判断した場合は、明確に指摘しその問題を解決するための修正、改善、設計変更等を助言します。これが私たち技術士の有する「公益確保の責務」です。

 技術士法第1条にはこう定められています。

「この法律は、技術士等の資格を定め、その業務の適正を図り、もつて科学技術の向上と国民経済の発展に資することを目的とする。」

 科学技術の向上と国民経済の発展のため、技術士は技術課題に真摯に向き合い、そしてクライアント様との良好なコミュニケーションのもと、課題解決に向けて最良な成果が得られるよう日々努力しています。

公益社団法人 日本技術士会ホームページ

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