食用油価格動向・最新情報2022年12月

国際相場

 世界銀行(THE WORLD BANK)が発表しているCommodity Price Data(図1)によりますと、2020年7月に始まった価格高騰相場は、2008年のリーマンショック時を上回る上げ幅となりましたが、2022年4月をピークに下降カーブを描いていたものの、最新2022年11月には再び上昇相場に転じる傾向が見られます。

 食用油価格の低下と安定を期待したいところですが、①世界人口の増加、②新興国の経済成長による食用油需要の増加、③産地国食料輸出規制、④脱炭素・カーボンニュートラルに対応するバイオ燃料の需要増加や、直近では、⑤コロナショック、⑥ウクライナ問題、⑦円安、⑧エネルギー価格の高騰、⑨世界的なインフレなどを踏まえると、食用油価格は今後も上昇基調で不安定な値動きと考えることが自然ではないでしょうか。

図1. 食用油脂国際相場の推移

業務用国内相場

 月刊油脂2022年12月号(幸書房)のデータより、食用油価格が安定していた時期と現在の最新の価格との比較、および上昇倍率を以下に示します。

  • 大豆油卸売価格(16.5Kg・一斗缶)

2020年/3,750円 ➡ 2022年10月/7,100円(1.9倍)

  • ナタネ油卸売価格(16.5Kg・一斗缶)

2020年/3,750円 ➡ 2022年10月/7,600円(2.0倍)

  • パーム油輸入価格(CIFトン当たり)

2020年年5月/73千円 ➡ 2022年9月/180千円(約2.5倍)

  • 食用コメ油売渡価格(Kg当たり)

2020年/320円 ➡ 2022年10月/500円(1.6倍)

  • コーンサラダ油卸売価格(16.5Kg・一斗缶)

2020年/4,800円 ➡ 2022年10月/7,700円(1.6倍)

  • ヒマワリ油原油輸入価格(CIFトン当たり)

2020年/120千円 ➡ 2022年9月/380千円(3.2倍)

 このように、著しい高騰を見せており、現在、高止まり傾向の状態ではありますが、国際相場が再び上昇に転ずると、さらに上昇することが考えられ、最近の為替相場において、一時の円安から円高方向に動いているなどの要素を踏まえると、読みにくい相場となています。 特に、世界三大油種であるパーム油、大豆油およびナタネ油においては、2020年の価格安定期から比べると1.9倍~2.5倍の上昇率で推移しており、この価格上昇が国内食品業界に大きく影響しています。

家庭用国内相場

 総務省・小売統計調査の東京都区部における食用油(1本・1,000g)の価格推移(2020年~2022年11月最新)を示しました(図2)。

 2020年月平均価格は292円でありましところ、2022年11月最新データによりますと500円までの値上がりを見せています。上昇倍率にしますと1.7倍となります。 業務用国内相場の大豆油とナタネ油の上昇倍率が約2.0倍であることを考えると、来年度には600円にせまる勢いが想像されます。今後はこれらの動向に注目です。

図2. 家庭用食用油価格の推移

最新バージョン「食用油価格動向・最新情報2023年7月」をアップしました。

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