食用油価格動向・最新情報2023年7月
1.国際相場
前回2022年12月の食用油価格動向リリースから半年が経過した情報をお知らせいたします。
前回の動向・最新情報については以下のリンクよりご参照下さい。
国際相場では前年12月の価格が最も高い上げ幅を示しておりましたが、その後、落ち着きをみせ、元に戻りつつあるように見受けられます(世界の食用油脂相場, 図1参照)。
ただし、過去の食用油高値を記録したリーマンショック(2008年)の際にも、その後ピークアウトしましたが、直後に油糧原料産地の天候不順による不作で、再び、中期的な高値で推移した経緯があることなどから、今後は安定してピークアウトするとは言い切れないところがあります。
また、今年はエルニーニョの発生により、世界的な異常気象が懸念されている観点からも油価格安定化に水を差す懸念があります。
前回の動向でも述べましたが、①世界人口の増加、②気象の極端化(異常気象)、③新興国の経済成長による食用油需要の増加、④産地国食料輸出規制、⑤脱炭素・カーボンニュートラルに対応するバイオ燃料の需要増加や、直近では⑥ウクライナ問題、⑦記録的な円安、⑧エネルギー価格の高騰、⑨世界的なインフレなど、油価格に影響する負の要因は多く、食用油価格は今後も上昇基調で不安定な値動きと考えることが自然だと思われます。
2.業務用国内相場
月刊油脂2023年7月号(幸書房)のデータより、食用油価格が安定していた時期とピークを迎えていた昨年9-10月の価格、そして最新の価格との比較を以下に示します。
①大豆油卸売価格(16.5Kg・一斗缶)
2020年/3,750円 ➡ 2022年10月/7,100円 ➡ 2023年5月/6,450円
②ナタネ油卸売価格(16.5Kg・一斗缶)
2020年/3,750円 ➡ 2022年10月/7,600円 ➡ 2023年5月/6,950円
③パーム油輸入価格(CIFトン当たり)
2020年年5月/73千円 ➡ 2022年9月/180千円 ➡ 2023年4月/149千円
④食用コメ油売渡価格(Kg当たり)
2020年/320円 ➡ 2022年10月/500円 ➡ 2023年5月/490円
⑤コーンサラダ油卸売価格(16.5Kg・一斗缶)
2020年/4,800円 ➡ 2022年10月/7,700円 ➡ 2023年5月/7,700円
⑥ヒマワリ油原油輸入価格(CIFトン当たり)
2020年/120千円 ➡ 2022年9月/380千円 ➡ 2023年4月/325千円
最新の状況を比較しますと、国際相場と同じく、ピークアウトしているように見受けられます。しかし、コーンサラダ油はピークの価格を維持し、その他の油種価格では顕著な低下はみられず、高止まりしている状況です。
その要因としては、歴史的な円安と共に、エネルギー、原材料コストや輸送費、インフレに伴う人件費の上昇、原材料価格の高騰が始まった際の価格転嫁の遅れなどがあげられます。
3.家庭用国内相場
総務省・小売統計調査の東京都区部における食用油(1本・1,000g)の価格推移(2021年5月~2023年6月最新)を以下に示しました(図2)。
2020年月平均価格は292円でありましところ、2022年11月に500円に達し、以降は高止まりの状態にあります。
業務用価格は低下傾向にありますが、家庭用にはそのような傾向が現在のところみられてはおりません。
そのため、家庭用の価格については今後の動向が注目されます。