特許侵害、立ち入り検査導入へ

今年の1月24日の日経新聞Webに「特許侵害、立ち入り検査導入 知財保護へ立証しやすく」という見出しを目にして少し気になっていました。

ザクっというと、他社の特許を侵害したと疑われる企業に、裁判所が選ぶ専門家を現場に送り、特許を侵害した側にある証拠を押さえるというもの。

目的は、独自技術を有する国内中小企業・ベンチャー企業の権利を守る、とのことです。

そして、3月1日付けでの経済産業省プレスリリース。

『「特許法等の一部を改正する法律案」が閣議決定されました』

その特許法の一部改正の要旨をみてみますと、

以下、引用です。

(1)中立な技術専門家が現地調査を行う制度(査証)の創設
特許権の侵害の可能性がある場合、中立な技術専門家が、被疑侵害者の工場等に立ち入り、特許権の侵害立証に必要な調査を行い、裁判所に報告書を提出する制度を創設します。

(2)損害賠償額算定方法の見直し
・侵害者が販売した数量のうち、特許権者の生産能力等を超えるとして賠償が否定されていた部分について、侵害者にライセンスしたとみなして、損害賠償を請求できることとします。
・ライセンス料相当額による損害賠償額の算定に当たり、特許権侵害があったことを前提として交渉した場合に決まるであろう額を考慮できる旨を明記します。
※(2)については実用新案法、意匠法及び商標法において同旨の改正を実施します。

引用:経済産業省Web(https://www.meti.go.jp/press/2018/03/20190301004/20190301004.html?fbclid=IwAR2SPLBYxd_E-iW_7Hetn7DXFo-s5kaaZrXNMzf794mwGKBJt6Bui-ylC6k)(DL 2019.3.7)

この改正の背景として、特許庁が「特許侵害の特殊性」と題して、

侵害が容易(特許は公開、物理的に盗む必要なし)

立証が困難(証拠は侵害者側に偏在)

侵害を抑止しにくい(刑事事件の起訴なし)

⇒ 「侵害した者勝ち」にならないよう配慮が必要

引用:経済産業省Web(https://www.meti.go.jp/press/2018/03/20190301004/20190301004-1.pdf)(DL 2019.3.7)

を上げ、 裁判所が中立公正な専門家を選定し侵害が疑われる者の施設へ立入らせ、侵害に係る証拠を確保できるようにするとのことです。

また、損害賠償額の算定方法も見直され、侵害者にはこれまでよりも厳しいものになっております。

・・・確かにねぇ、、特に方法の発明で特許権者が侵害立証するのは、今の仕組みだと結構難しいのではないか・・・と思っておりました。

でも、裁判所は専門家を選定し、立ち入りの許可をするには、やはり何等かの証拠などに基づいた合理的な理由が必要なはず。

具体的にどうしていくのかはわかりませんが、この動向に注視していこうと思います。

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