食用油脂の生産技術(2)油糧種子「大豆、菜種」編
農林水産省WEB https://www.maff.go.jp/j/pr/aff/1111/spe2_01.html
大豆(Soybean)
大豆は、古くから食料として利用されてきただけでなく、その種子に含まれる油分やタンパク質が豊富であることから、重要な油糧種子としても位置づけられています。
大豆は世界中で栽培されていますが、主な生産国は北アメリカや、ブラジル、アルゼンチンといった南アメリカの国々です。これらの国々は、広大な農地と温暖な気候を活かして、大量の大豆を生産しています。
大豆の種子には、約20%の油分が含まれています。この大豆油は、リノール酸やオレイン酸といった不飽和脂肪酸を豊富に含んでいるため、心血管疾患の予防効果が期待されています。また、大豆油は、食用油としてだけでなく、インク原料など工業用原料としても広く利用されています。
大豆の種子には、約35%のタンパク質が含まれており、「畑の肉」と呼ばれるほど、良質なタンパク質源として知られています。大豆タンパク質は、必須アミノ酸をバランスよく含んでいるため、人間の体内で効率よく利用することができます。大豆タンパク質は、豆腐や納豆などの大豆製品の原料となるだけでなく、近年では、肉や乳製品の代替品としても注目されています。また、そのタンパク質の含量や質から家畜用の飼料としても利用され、世界の食料供給には欠かせない作物です。
菜種(Rapeseed, Canola)
菜種は、古くから油脂の原料として利用されてきた重要な油糧種子です。近年では、品種改良によって栄養価が高く、安全性の高いキャノーラ種が主流となり、その利用範囲はますます広がっています。
菜種は、世界各地で栽培されていますが、主な生産国は、カナダ、中国、インドなどです。これらの国々は、広大な農地と栽培の歴史を背景に、大量の菜種を生産しています。特に、カナダはキャノーラ種の開発において先進的な国であり、世界最大のキャノーラ油の輸出国として知られています。
現在、主に栽培されているキャノーラ種は、従来の菜種に含まれていたエルシン酸という、栄養学的に好ましくないと言われている脂肪酸を減らした品種改良された菜種です。エルシン酸は、心血管系に悪影響を及ぼす可能性が指摘されていたため、この品種改良が行われ、日本ではキャノーラ油として流通しています。また、菜種油としても流通していますが、これもキャノーラ種の菜種油となります。
菜種の種子には、約40%の油分が含まれています。この菜種油は、オレイン酸を豊富に含んでおり、オリーブ油に似た性質を持っています。
菜種の種子には、約20%のタンパク質が含まれており、大豆のタンパク質含量と比較すると少ない特徴を有します。菜種粕と呼ばれるこのタンパク質は、家畜の飼料や肥料として利用されています。